【12】これから私達が住む寮
職場を案内してもらった私達は次にこれからの住居となる寮を案内してもらいました。
一階には靴箱があり寮内では上靴に履き替えます。
上靴なんて小学生振りの響きです。
あとは、共同の洗濯機と乾燥機、自動販売機がありました。
洗濯機と乾燥機はありがたいことに料金はかかりませんでした。
階段を上ると共同の電子レンジが置いてありました。
二階の廊下は薄暗くほとんどの部屋の前には届いた荷物はどうぞそのまま置きっぱなしにしてくださいという内容が書かれていました。
既に大阪では見ない異様な光景です。
そして私達の部屋は2階の奥から2番目向かい同士の部屋でした。
部屋の中に入ると真四角の小さい冷蔵庫にミニキッチンそして
トイレとシャワーが一緒になったユニットバス、
マットレス付きのベットがあり、部屋はそこまで狭くはなかったように思います。
ベランダはなく窓を開けると干せるような金具のようなものは一応ありました。
私はドコモの携帯でしたがソフトバンクの携帯の田中は私の部屋では電波が届かず圏外になっていました。
自分の部屋なら電波が届くようでした。
今時圏外になることもあるんだなあと驚きました。
一旦荷物などをお互い整理するため各部屋にもどってから私の部屋で合流し一服しながら話しました。
田中もやはり不安な気持ちでいっぱいのようでした。
そしてふたりで約束事をしました。
リゾバできたからといってお互い仕事はきちんと果たす事(あたりまえのことですよ)お互いどんなにこの先、西表の地でお金に困ってもお金の貸し借りは絶対しないこと。
親しき仲にも礼儀あり。金の切れ目は縁の切れ目。
お互い大切に思っている友達だからこそ、この仮移住をきっかけに仲が悪くなる。それはどうしてもお互い避けたかったのです。
そういえば朝からなにも食べていないことを思い出し近く買い出しに行くことにしました。
【11】神聖な場所が存在する西表島
窓の外をながめながら建物やコンクリートなんかも
こんなはるばる海を越えてやってきて建設したり運んだりしてすごいなあ、
それにしても本当になんにもないところだなぁ。
なんてぼんやり考えているうちに職場に到着しました。
ここからは総務の人が案内してくれるとのことで制服のサイズ合わせだったり、施設の案内をしてもらいました。
制服はかりゆしウェアです。かりゆしという言葉も今回のリゾバで初めて知りました。
おきなわではかりゆしが正装のようです。
更衣室がないようなのでトイレで田中と二人でかりゆしに着替えました。
かりゆしのサイズは問題ありませんでしたが田中も私もボトムの長さがとても長く引きずってしまいました。
新しい職場はやっぱり緊張します。
そういえば、中学の制服も高校の時にアルバイトしたレストランもシャツは基本ボトムにインして着用するのがルールでした。
恐らくこのかりゆしウェアもボトムにインして着るやつだと私は思い、田中に伝えました。
田中もそっか、そっか、みたいな感じでかりゆしにボトムをイン。
サイズ感を伝えようと外へでると同じ制服を着た従業員の方が見えました。
かりゆしウェアは基本的にシャツは出して着用するようでした。
ボトムが長い事を伝えると、アイロンでとめるタイプの裾上げテープを支給されその場でアイロンを借りて裾上げしました。
しかしこの裾上げテープかなり弱く翌日からすぐに外れてしまい、結局毎朝ガムテープで裾上げするのが田中と私の朝のルーティーンになるのでした。
一通りの施設を案内されたり支配人との挨拶が終わり
私達の住居となる寮へ案内してもらうことに。そこへ車で向かってる途中で「西表島は地元の人しか立ち入ってはいけない神聖な場所が数多くあります。むやみやたらに入っていかないようにお願いします。」と忠告されました。
たとえば、なにか土地の所有者がいてそこでなにか栽培してるとか、人の住居で入ったらいけないとかそういうのなら想像がつくけど、
地元の人だけの神聖な場所は初耳で大阪育ちの私達にはなじみがありません。
虫が怖いし忠告がなくても探検したいとか全然思わないけどなんだかとんでもないところにきてしまったと不安な気持ちが更に増しました。
田中の顏を見てみると彼女もまた、同じ気持ちのようでした。
9月ももうすぐ終わりというのに物凄い勢いのセミの声が島中に響き渡っていました。
【10】遂に西表島上陸
八重山離島の玄関口、離島ターミナルに到着しました。
広めの施設でお土産屋さんやロッカー、ATMなどもありました。
早速カウンターでフェリーの切符を購入しました。
確か西表島までの片道運賃は2000円ほどだったと思います。
外にある船着き場へ行ってみると港なのに海の色が青くとてもきれいでした。
大阪にある南港のようかんのような海とは比べ物になりません。
西表島には港がふたつあります。
大原港と上原港、上原港の方が近く船に乗る時間も短くてよいのですが
すぐに欠航しやすく、そんな時は大原港へ乗ってくださいと派遣から案内がありました。
つい最近台風もあったので欠航してるかなと思ったのですがなんとか運航しているようで無事上原航路へと乗船しました。
フェリーに乗るのも初めての体験です。
屋外の席と屋内の席と2種類ありました。私達は屋内に座ることにしました。
席に着くとシートベルトも設備してあり、注意書きにはかなり揺れるので気を付けてください的な事が書かれていました。
寝不足のせいでまた一瞬で眠ってしまい到着まで爆睡してしまった為、そんなに揺れたかどうかもわかりませんでした。
右隣には田中が、そして左隣には黒く日焼けしたちょっといかつめな雰囲気のバックパッカー風のおじさんが座っていて、あまりにも爆睡しすぎておじさんの肩で爆睡していたようでまるでカップルのような佇まいだったと後から田中に聞いて起こしてくれよと強く思いました。
西表島到着です。
遂に遥々1600キロ先の離島の離島まで来ました。
こじんまりとした上原港に到着するとこれから働く職場の人が迎えに来てくれていました。
迎えの車に乗り込むとビギンのがんばれ節が流れていたのが印象的でした。
車の窓から外を眺めても想像以上に何もないところでした。
♪がんばれよぉ、がんばれよぉと流れるその歌詞はまるで私達を応援してくれているようにも聞こえましたが、想像以上の自然豊かすぎる風景に不安を覚え、まるでその不安を煽られているようにも聞こえてきました。
寝不足と疲れで精神状態も不安になっていたのかもしれません。
田中も同じ気持ちになったのか、車内でそっと目を合わせました。
ちらっと窓の外をのぞくとデンサー食堂の文字が見えました。
デンサーの意味すら分かりません
【09】石垣島上陸!
・・・2時間30分の空の旅を終えて遂に小学生の頃から憧れていた沖縄の地へ足を踏み入れました。
外へ出てみるともうすぐ10月というのに真夏のような暑さにびっくりしました。
憧れの沖縄に上陸したんだなあととてもうれしくなりました。
田中の顏を見ると少しげっそりしていました。
田中も昨日は朝方まで私と電話して荷造りしていた為ほとんど眠れてない上に飛行機の中でも後ろの座席のお子様に永遠と座席をポコポコ蹴られていたみたいで一睡も出来なかったようで気の毒でした。
調べた情報だと西表はとても自然豊かな土地の為西表から石垣に行くと田舎から東京に出てきたような、そんな感覚になると書いてました。
船に乗ってすぐに東京に感じるような都会がすぐそばにあるなんて安心だな、なんて考えていました。
派遣の担当者さんもまずは比較的都会の石垣で必要なものを調達して西表島に行くようにと言われていたので案内にあったショッピングプラザという場所で買い物をしていくことにしました。
空港から出ている路線バスに乗り込みサトウキビ畑を越えショッピングプラザへ向かいました。
・・・しかし到着したショッピングプラザは私達の思い描いていたショッピングプラザではありませんでした。
必需品をそろえてとのことでしたが、どうみても私が求めている必需品を揃えれそうにない佇まいなのです。
なんというか、土産物屋なのです。
(後から考えたら買い物する場所を完全に間違えていたっぽいです。
100均やスーパーなんかがならんである買い物に便利な場所がありました)
そして、西表からしたら東京だとかいう石垣にまったく都会感を感じることができず寝不足や灼熱の暑さに参っていたこともありかなり絶望感を感じました。
熱心に沖縄の虫を調べる前に離島の環境を調べるべきでした。
近くにドラッグストアをみつけたので重たいキャリーと荷物を汗だくになりながら引っ張り行ってみることにしました。
中に入るとそこは内地のドラックストアとあまり変わりなくすぐに私も田中もドラッグストアモリ、ドラモリの事が大好きになりました。
かわいいりんごちゃんのマークが目印です。
洗濯紐やシャンプーリンス、洗濯洗剤など購入し、あと忘れてならないのがバルサンや殺虫剤です。田中のイチオシはゴイス。予防にもなるし殺虫能力もあると推していました。
そんなこんなで更に荷物を重たくしながら離島の玄関口、離島ターミナルへ向かいました。
【08】ついに西表島に向けて出発!!
朝7時台の関西国際空港からのフライトでした。
電車で行くなら始発で出発でしたが、なんと車持ちの共通の友達が
空港まで送って行ってくれるとのことでお言葉に甘えることに。
高速の中で田中が携帯で音楽を流していました。
バックストリートボーイズの【I Want It That Way】
なんだか車の中でそれを聞いているとこれから未知なる世界へ飛び込んでいくんだなあと実感が沸いたのを覚えています。
希望しかありませんでした。
いろんな思いが駆け巡り窓の外を見ると朝の空気が気持ちよさそうです。
気分も高まってきたし、少し風にあたって思いふけたいなと窓を開けようと思いました。
しかし長年車を乗っていない為か窓の開け方に戸惑いました。
開け方がわからないのなら諦めればいいものを勘を頼りにドアノブのようなところを握ってみました。
するとスライド式ドアがなんと時速80キロ以上でている阪神高速どまんなかで開きました。
危機一髪、転落こそしませんでしたが寿命が縮まるくらいびっくりしました。
助手席に座っていた田中も驚きの眼差しでこちらを見ていました。
パニックを起こさぬよう運転席の友達は冷静に閉め方をレクチャーしてくれなんとか無事にドアを閉めることができました。
空港までの間私が窓を開けることはありませんでした。
空港に到着して私たちはLCCで石垣空港までのフライトだったので
第二ターミナルへバスで移動しいよいよ出発です。
西表島には空港はないので最寄りの石垣島まで飛行機で行きそこから高速フェリーを使って西表島まで行きます。
キャリーバックが小さいばかりにめちゃめちゃ大きいカバンを持っていくことになりました。
生まれて初めての飛行機です。
私達が使った空港会社はPEACHです。
搭乗するとCAさんが慌ただしく着席案内をし程なくして出発のアナウンスが流れました。
緊急着陸の説明を受けているともし万が一本当に酸素吸入器などが必要になったらどうしようと不安になりました。
勢いよく滑走路から離陸し初めての空の旅に感動したのもつかの間、一睡もしていない疲れで石垣空港に到着するまで爆睡していました。
それは9月の20日頃のことでした。
【07】移住3日前に母に報告
そしてお母さんには直前まで言えませんでした。
諸々の沖縄移住グッズはお母さんが仕事で居ない隙に押入れに隠してました。
そもそもお母さんは安定した仕事に就いて欲しいと口酸っぱく言っていたので西表島にリゾバへ行くなどと言ったら反対されるに決まってます。
いつもは割となにか決断する時はお母さんの顔色を伺ってから決断していましたが今回の沖縄移住は反対されても行きたいと思っていました。
なので結局西表移住の事を伝えたのは出発3日前でした。
伝えた時には案の定二度と帰ってくるなと言われました。
想定内でした。
青い海青い空そして満天の星空や新たな土地での新たな出会い仲間達と一緒にゆんたくやBBQ、、、!
リゾバかんぱーい!!などほざきながら二人で出発の日まで妄想を繰りひげました。
お母さんのことは時が経ちほとぼりが冷めるのを待つことにしました。
親子ですから。分かり合えるはずとまたまた楽観的に考えていました。
~出発前日~
深夜すぎてもまったく荷物詰めが終わっていませんでした。
田中と私は電話しながらあーでもない、こーでもないと荷造りをしていました。
Sサイズのキャリーとボストンバックへ詰めれるだけつめました。
とりあえず私の荷物の中身は洋服が多かったように思います。
アパレルで働いていた時にしこたま社販した洋服たちを詰め込みました。
マーガレット柄のフィットアンドフレアなワンピースやチュール素材でできた真っ白のマキシワンピース、、、
90パーセントがジャングル、秘境の地、西表島でいろんなコーデが組めるよう詰めれるだけ詰めました。
虫の恐怖を除いけば楽しみしか待っていない離島生活、、、!
私の思い描いてる雰囲気そのままのYouTubeを発見し何回も何回も再生しました。
後に田中に「そもそもこの動画外国やん。」と現実を突きつけられるのでした。
そしてなんだかんだ結局一睡もせず当日を迎えました。
【06】リゾバ移住にむけての購入品
西表島移住に向けていろんなものを田中と買い出しに行きました。
まずは寝具類を揃えるために自転車で少し遠いニトリまで出向きました。
ベッドとマットレスは寮に用意されているという事なので掛布団と敷パッドを買うことにしました。
値段が安く触り心地も良いものが見つかり、田中と同じデザインのものを購入しました。
ニトリのレジで並んでいるときに田中が「うち、満了期間の3か月だけで物足りひんかったら延長する!そんで貯金して運転免許取る!」と目を輝かせていました。
確かに寮費無料食事手当も月4000円程派遣から出てしかも田舎でお金の使い道がないとのことなので賃金が安くても確実に収入のほとんどを貯金できる計算でした。
次に向かったのは300均です。
ここでは収納ケースと洗濯カゴを購入。ちなみにこの洗濯カゴは後に大活躍しました。自分の部屋に洗濯機がないタイプの寮なら必須アイテムです。
そしてもちろん100均にも行きました。
沖縄は紫外線が強いみたいなのでサングラスを100均で買いました。まぁ普段サングラスをかけるタイプではないし念のため程度の気持ちで購入しましたがこれもかなり使いました、、、!
マダム感溢れるフォルムのものを田中と共にザ・ダイソーにて購入
あとはハンガーや洗濯ネット。普段自宅でめんどくさがりで洗濯ネットなど使わないのですが、共同の洗濯機だとみられたくない下着など入れて回すのにこれも必須アイテムです。
憧れの沖縄でひと夏過ごせて貯金もできるなんとも素敵な初めての一人暮らし、、、!
そんな頭にお花畑な私たちにも恐れているものがありました。
それは虫です。
沖縄は虫が多いのです。それはネットで調べつくしました。
まずゴキブリも内地よりもでかく、なんと噛むとも書いてあり眩暈を起こしそうでした。
ヤモリもかわいいという意見がありますが私たち二人にとっては恐怖でしかありません。
今私達ができる事をと
ホームセンターでバルサンと田中イチオシの寄せ付けないタイプの殺虫剤ゴイスを購入しようと思いましたが飛行機に乗るか怪しい為現地で調達することに。
あとは虫の画像などを見て耐性がつくように鍛えました。(ほとんど意味はなかったです。)
YouTubeなどで沖縄の虫はどんなものがあるのか調べに調べまくりました。
結局この不安拭いきることはありませんでした。