【16】西表に来た理由
次の日からそれぞれの仕事を振られ私は台湾人の先輩に習いながら、田中はリゾバの先輩から習うことになりました。
どちらもとても良い人で優しく指導してくれました。
しかし、優しく教えてくれる人ばかりではありませんでした。
私はあまり仕事上で関わりはないものの、キッチンには物凄い勢いで罵倒してくるおじさんが一人居てました。
決して悪い人ではないみたいですが話口調が厳しい人で特によく関わって一緒に仕事をしていく田中はリゾバの先輩にそのおじさんの攻略法を学んでいました。
ちなみにざっくりした仕事内容はバイキングの料理の補充係でした。
私が冷たい料理の担当、そして田中があたたかい料理の担当でした。
料理内容もグルクンという沖縄の魚、ふわふわのおぼろ豆腐のようなゆし豆腐、あとスパムなど沖縄ならではの物も多かったです。
仕事場で新しい出会いがあると自己紹介の流れでよく、西表島になぜ来たのか聞かれました。
トレッキングが好きなの?
自然が好きなの?みたいな感じでよく聞かれました。
私達二人の容姿はどうみてもアクティブな人には見えなかったと思います。
スポーツをするような活発な雰囲気でもなく、日焼けもしていない肌です。
その時は、綺麗な海を楽しみに来ましたと伝えましたが、
自分たちもなぜ西表島を選んだのかはもうわからなくなっていました。
「じゃあ、ダイビングとか、シュノーケルとかするのー?」
と聞かれても二人ともシュノーケルもダイビングもしないし、
なんだったら、田中は魚が怖く苦手な程でした。
ちなみに私はカナヅチです。
なぜ私達は西表島に移住してきたのでしょうか。
もはや繰り返されるこの質問が次第に辛くなってきました。