【15】パイナップルトイレ
いよいよ初出勤です
私達が配属されたのはレストランの朝食業務でしたその為朝もまだ暗いうちからの出勤です。
道があまりにも暗い為行きは車で送迎してもらえました。
外灯がほとんどなく真っ暗すぎて道に沿って設置してある反射板がまぶしく感じました。
昨日施設案内の時に居なかったスタッフの人もいて簡単に挨拶を済ませました。
その日は食べた終わったお皿を片付けをひたすら片付けるという業務を担当しました。
明日からはそれぞれ覚えていく業務が振られるということでした。
片付けたりディナーの準備をしたり仕事は朝早くに出勤している分14時には終わりました。
車の免許も車も自転車も持っていない私達は仕事が終われば歩いて寮まで戻りました。
道中に咲いている花におびただしいほどの蝶々が群がってました
美しい蝶もこんなにたくさん居ると怖さすら感じるなぁ、なんて思いながら帰っていました。
西表の生命力は本当に凄いです。
二人で途方も話をくっちゃべりながら帰っているといつの間にか道を間違えたみたいで遠回りして帰ってしまっていました。
そんなときに限って急にトイレが行きたくなり歩いている振動だけで厳しい状況に陥ってしまいました。
こんな大自然の人気のないところだし外で思い切ってしてしまおうかな、なんてことも考えましたが怖い虫に刺されたり、ハブも怖いし、どこが地元の人が大切にしている神聖な場所かもわからないし、なによりも島は人間関係も狭いので噂になるとたちまち広がると聞いたので我慢しようと思ったその時、公衆トイレらしきものを発見しました。
南国らしいパイナップルの形の佇まいでした。
田中を置いてパイナップルトイレへ急いでかけよりました。
中をのぞくとトイレではなくただの空洞でした。
(今見てみれば全然トイレっぽくない。)
ペロンと一枚議員選挙の紙だけ貼られていました。
一体なんのための建造物かわかりませんでしたが限界を迎えそうな私は半泣き状態で急ぎ足で寮へ帰りなんとか間に合いました。
田中は今まで座り仕事が多かったためパンプスでずっと立ちっぱなしの勤務が辛そうでした。
私も朝早いシフトに慣れるかもとてもとても不安でした。
今日もお互い食欲がなくあまりご飯を食べずその日一日を終えました。
クリーム玄米ブランのメープル味が主食になっていました。
大阪に帰りたい。そんな気持ちでいっぱいになりました。