【19】島での見知らぬ人ん家のばんごはん
見知らぬ人からばんごはんのお誘いを受けた私達、、、
行くか行かぬかの会議をしました。
前回のお話↓
バックレるにしても、悪い人かもしれませんがいい人なら申し訳ないし、何より島はいいことも悪いことも話が回るのが早いのです。
約束したのに、バックレた関西人二人組の女となるのも気がひけました。
悩みに悩み抜いた結果、
自分たちで約束したことなので意を決してお邪魔することにしました。
お互いカバンの中に鋭利な刃物類を忍ばせて万が一に備えました←
私は確かいつも使っている眉毛切りばさみを忍ばせました。
田中がぽつりと、「このハサミやったら、戦時中に戦闘機相手に竹ヤリで反撃の練習してた並みに意味なさそうやけど、、、大丈夫かな」なんて言い出しましたがとりあえず無いよりましで丸め込みました。
夕闇に包み込まれそうになる直前寮を出発しました。
その人のお家は口頭の説明ですぐにわかりました。
出迎えてくれたので中に入ってみると、、、
感動しました。木目調に統一されたおしゃれな部屋内でmacのデスクトップパソコンが置かれてていて近代感もばっちりです。
なによりも部屋の中はお母さんが料理しているときに漂ってくるような、ホッとするようなそんな美味しそうなにおいに包まれていたのです。
西表島にこんな素敵な暮らしがあるのかと驚きました。
任天堂のゲームどうぶつのもりで、最初自分が住んでいる部屋が凄く小さくて無機質で石畳にコンクリートの壁、段ボールの上にラジオ、そして灯りはランタンでスタートし、村の住人の家へ遊びに行くと広くてしかもカントリーな家具とかラブリーな家具とかで揃えられてて自分の家との違いに子供の頃驚愕しました。まさにそんな感じでした。
出される料理も全部美味しくて、人が作ってくれた美味しいごはんを食べるのは本当にひさしぶりで幸せな気持ちで満たされました。
お刺身もさっき釣りたての白身魚でとってもおいしそうですなのですが今は私は生魚が食べれない設定です。
しかしものは試しにと食べてごらんと言ってもらえ食べさせてもらうと全然臭みもなく美味しかったです
その人も内地から移住してきたそうでもう結構長い事西表に住んでいるそうです。
住んでて困るのは蟻が多い事でアリの巣コロリが手放せないといっていました。
仕事は自分で観光業をやっているみたいでお土産品なんかも自分で手掛けているそうです。
楽しい時間はあっという間に過ぎお礼を言ってお別れしました。
眉切りバサミの出番はありませんでした。
とても素敵な出会いに感謝です(^_-)-☆
初めての西表島の海
ある日のこと今日は仕事終わってから中野海岸に再チャレンジしようと田中と決めました。前回は恐怖の謎の生物にびびっていけなかった茂みを抜けた先にあるあの海です。
少し西表生活にも慣れてきて、今ならなんとなく長靴なしでも行けそうな気がしました。
前回遭遇したやつ↑
今日も2時頃仕事を終えて着替えていざ中野海岸に向かいました。
あの因縁の茂み道も恐る恐るなんとか入っていくことができ抜けると青い海が広がっていました。
ようやく、、、!ようやく海に遊びに来ることができました。
海を目の前にテンションもあがり足までつけて遊びました。
とっても気持ちよかったです。
最近聞いた話ですが海には癒しとか浄化作用があって足だけつけるだけでも浄化の効果があるみたいですよ
ただ気になったのはなにやら黒い海藻?植物もたくさん砂浜に落ちていて海にもたくさん浮いていました。
西表島の海は私たちが思い描いていた白い砂、青い海の想像とは確かに違いましたがそれでも近畿の味噌汁のような濁った海しかみたことがなかった私からすると十分綺麗な海でした。
(↑私の想像していた理想のビーチ)
(↑📷中野海岸田中)
あとから聞いた話によると真夏の中野海岸はめちゃめちゃ綺麗らしいです、、!
北風が吹く季節になると漂流物が流れ着きやすくなってこんな感じで海藻的なものでいっぱいになるみたいです
するとビーチで釣りをしていた男性が声をかけてくれました。
「あまりにもはしゃいで海にどんどんはいっていくからあなたの赤いリュック、海にもうすぐ浸かりそうだよ」そんな事を言われた気がします。
(確かに今写真を見返せばやたらとリュック下の位置すぎる。)
そこからその男性といろいろ雑談をしました。
魚も釣れたそうで今晩刺身にするからせっかくだから食べにきたらいいよと誘ってくれました。
が!しかし見知らぬ他人の家で生魚を食べるのは都会育ちの私にとって少し抵抗がありました。いや少しどころではありません。こういうところから事件にだってなったりするのです。
なので私は「せっかくなんですが、、、私生魚苦手で、、、」とやんわりことわることに。
しかし、私の気持ちとは裏腹に田中は「うち、刺身好き」とほざきだしたのです。
そんなこんなで私には火を通した魚を出してくれるということで話がまとまってしまい、連絡先を交換しその人のお家で待ち合わせすることになりました。
寮に帰ってから私の気持ちを田中に伝えました。
「全然知らん人の家で魚食べるん怖い!もし家で殺されてジャングルのなかとかさとうきび畑にポイって捨てられても死体すらなかなか見つけてもらわれへんで、、、」
そういうと田中も不安になったのか二人で猛烈に約束したことを後悔しました。
続く
【17】西表島で友達作り
せっかくはるばるここまで来たので
私達はここでの出会いを大切にしたいと考えていました。
二人で孤立するのではなく友達を作りたかったのです。
私はかなり人見知りな上なかなか素を出すことができない性格でした。
仕事で話はするけれどプライベートでも遊びましょうとは
なかなかいきませんでした。
しかし、田中がいつも仕事を教えてもらってるリゾバの先輩の村井さんと
連絡先を交換したみたいで遊ぶ約束をしたとのことで
私もついてきてもいいといってくれているというのです!
年も同い年でこれから仲良くなれそうな予感に嬉しくなりました。
わくわくしながら遊びに行く準備をしに寮へ帰りました。
どの服を着ていくか悩みに悩みぬいて中には水着を着て海に行く支度をしました。
準備満タンで寮の下で待ち合わせでしたが降りてみると急に空が暗くなり外を見てみると雨でした。
村井さんも田中も居ましたが、今日はこの天気で楽しめなさそうなのでやめときましょうという流れになってしまいました。
確かに海に行かないとなるともはやどこにも遊ぶところが思いつきませんでした。
薄暗い寮の廊下で微妙な空気が流れている中次の瞬間停電したのです。
そんなに大雨でも無ければ風だってそこまで強くありません。
すぐに復旧したのですがこの程度の雨で停電してしまうとなると台風がきたらどうなってしまうのでしょうか。
またひとつ生活での不安が生まれました。
その後仲良くなれそうと期待していた村井さんとは田遊びに行く機会はなぜか最後まで
訪れることはありませんでした。
【16】西表に来た理由
次の日からそれぞれの仕事を振られ私は台湾人の先輩に習いながら、田中はリゾバの先輩から習うことになりました。
どちらもとても良い人で優しく指導してくれました。
しかし、優しく教えてくれる人ばかりではありませんでした。
私はあまり仕事上で関わりはないものの、キッチンには物凄い勢いで罵倒してくるおじさんが一人居てました。
決して悪い人ではないみたいですが話口調が厳しい人で特によく関わって一緒に仕事をしていく田中はリゾバの先輩にそのおじさんの攻略法を学んでいました。
ちなみにざっくりした仕事内容はバイキングの料理の補充係でした。
私が冷たい料理の担当、そして田中があたたかい料理の担当でした。
料理内容もグルクンという沖縄の魚、ふわふわのおぼろ豆腐のようなゆし豆腐、あとスパムなど沖縄ならではの物も多かったです。
仕事場で新しい出会いがあると自己紹介の流れでよく、西表島になぜ来たのか聞かれました。
トレッキングが好きなの?
自然が好きなの?みたいな感じでよく聞かれました。
私達二人の容姿はどうみてもアクティブな人には見えなかったと思います。
スポーツをするような活発な雰囲気でもなく、日焼けもしていない肌です。
その時は、綺麗な海を楽しみに来ましたと伝えましたが、
自分たちもなぜ西表島を選んだのかはもうわからなくなっていました。
「じゃあ、ダイビングとか、シュノーケルとかするのー?」
と聞かれても二人ともシュノーケルもダイビングもしないし、
なんだったら、田中は魚が怖く苦手な程でした。
ちなみに私はカナヅチです。
なぜ私達は西表島に移住してきたのでしょうか。
もはや繰り返されるこの質問が次第に辛くなってきました。
【15】パイナップルトイレ
いよいよ初出勤です
私達が配属されたのはレストランの朝食業務でしたその為朝もまだ暗いうちからの出勤です。
道があまりにも暗い為行きは車で送迎してもらえました。
外灯がほとんどなく真っ暗すぎて道に沿って設置してある反射板がまぶしく感じました。
昨日施設案内の時に居なかったスタッフの人もいて簡単に挨拶を済ませました。
その日は食べた終わったお皿を片付けをひたすら片付けるという業務を担当しました。
明日からはそれぞれ覚えていく業務が振られるということでした。
片付けたりディナーの準備をしたり仕事は朝早くに出勤している分14時には終わりました。
車の免許も車も自転車も持っていない私達は仕事が終われば歩いて寮まで戻りました。
道中に咲いている花におびただしいほどの蝶々が群がってました
美しい蝶もこんなにたくさん居ると怖さすら感じるなぁ、なんて思いながら帰っていました。
西表の生命力は本当に凄いです。
二人で途方も話をくっちゃべりながら帰っているといつの間にか道を間違えたみたいで遠回りして帰ってしまっていました。
そんなときに限って急にトイレが行きたくなり歩いている振動だけで厳しい状況に陥ってしまいました。
こんな大自然の人気のないところだし外で思い切ってしてしまおうかな、なんてことも考えましたが怖い虫に刺されたり、ハブも怖いし、どこが地元の人が大切にしている神聖な場所かもわからないし、なによりも島は人間関係も狭いので噂になるとたちまち広がると聞いたので我慢しようと思ったその時、公衆トイレらしきものを発見しました。
南国らしいパイナップルの形の佇まいでした。
田中を置いてパイナップルトイレへ急いでかけよりました。
中をのぞくとトイレではなくただの空洞でした。
(今見てみれば全然トイレっぽくない。)
ペロンと一枚議員選挙の紙だけ貼られていました。
一体なんのための建造物かわかりませんでしたが限界を迎えそうな私は半泣き状態で急ぎ足で寮へ帰りなんとか間に合いました。
田中は今まで座り仕事が多かったためパンプスでずっと立ちっぱなしの勤務が辛そうでした。
私も朝早いシフトに慣れるかもとてもとても不安でした。
今日もお互い食欲がなくあまりご飯を食べずその日一日を終えました。
クリーム玄米ブランのメープル味が主食になっていました。
大阪に帰りたい。そんな気持ちでいっぱいになりました。
【14】初めての夕食後、涙
恐怖のあまりもう、海を眺めるどころの話ではありません。
私たちは中野海岸を後にして寮へ戻りました。
寮へ戻ると夕食の準備です。
買ってきた雪平鍋に水を張り、付属の電気コンロで沸かしました。
電気コンロの威力が弱くめちゃめちゃ沸くのに時間がかかりました。
もはやちゃんとわいているかもわからないそのお湯をカップ麺に注ぎ食べました。
ぬるいわけでもないし、内地でも売られている定番の担々麺味のカップ麺なのに
全然美味しく感じられず、ほとんど残してしまいました。
田中も同じようでした。
だんだん日も暮れ、明日の出勤が朝早い為各自部屋に戻りました。
しばらくすると田中が涙を流しながら私の部屋へやってきました。
突然のことで驚きました。
手には携帯を握りしめていました。
話を聞いてみると叔母さんからラインがあったようで、それを読んでいると恋しくなってきて涙が溢れてきたとのことでした。
私は私でお母さんから3か月の移住の事伝えると帰ってくるなと怒られて、田中も田中で出発する前にお母さんとけんかになったそうです。
出発前に電気代を払え。お母さんのその一言で出発直前ケンカに発展してしまったそうです。
そんな心細い気持ちの中、いつもよくしてくれている叔母さんからのラインはかなり響いたようでした。
わくわくしながら、西表に来たけれど、
あまりにも今まで自分たちが生活していた場所と違い、これから三か月の間やっていけるのかとても不安な気持ちでお互い一夜を過ごしました。
星空をみるのもとても楽しみにしていましたが
窓から星空は全然見えずさらにがっかりしました。
夜に外まででて見に行くという概念はありませんでした。
いよいよ翌日からはお仕事スタートです。
【13】未知の生物との遭遇
私達は朝から何も食べていないことを思いだし
近くのスーパーへ向かいました。
そこまで広くないこじんまりとした店内でした。
そしてなにもかもが少し高いのです。
例えばザ・ダイソーと記載されている明らかに100均のものでも
150円するのです。やっぱり離島なのでその分の燃料代などが含まれているようです。
調理器具を全く持ってきていない私たちは雪平鍋とカップラーメンを買いました。
帰りがけに中野海岸の看板がみえました。
私達が遥々沖縄まできた理由は海を見にきたからです。
茂みの奥に青い海が広がっていました。
しかし、私達にはその茂みすら恐怖でした。
両脇に生い茂ったところから、虫やゴキブリ、最悪ハブが出てくるかもと思うと恐怖で海を見に行く勇気がわきません。
しかしせっかく遥々沖縄、しかも離島の離島まできたのだから海はみたいです。
そんなに恐れていてはいつまでたっても海を楽しめないので意を決して田中先頭に突き進んでみました。
ぎゃーーーーー
5歩も歩かないうちに田中が大きな悲鳴を上げました。
全速力で5歩来た道を慌てて戻りました。なにがあったかと聞いて見ると青い火星人のようなものがいたというのです。
三角形に足がある。そんな形だったみたいです。
半泣きで説明する田中を見ているとどれだけ恐ろしかったのか見ていない私にも伝わりました。
得体の知れない火星人に恐怖しかありませんでした。
私達は今ビーチサンダルです。あまりにも無防備すぎます。中野海岸は後日スーパーで割高だろうがなんだろうが長靴を買った後に挑戦することにしました。
やはり未開の地、西表島には恐ろしい生物がいることは間違いなさそうです。
、、、何年もあとに気づいたのですがこの得体の知れないあの青い火星人は恐らくヤシガニだったんじゃないかなぁと今になってぼんやり思っています。